花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
士貴様にエスコートされながら、長宗我部家の馬車に乗る。郁世様と貴文様は別の馬車なので私たちは帝都に来る時に乗ってきた馬車に乗り城へ向かった。
お城と言っても、夜会が行われるのは城の敷地内にある異国と外交を行うための異国風の館だ。お城に近づいて行くと桜の木が増えていて桜並木に変わっていく。さすが、年中桜が咲いている都だ。
夜だからか灯りがあって、綺麗さが増している。
お城に到着すると、私は士貴様に伴われ馬車を降りた。
「大丈夫かい、紗梛」
「はい。……少しだけ、ドキドキしています」
「大丈夫だよ。何かあれば俺が助けるから」
「士貴様、ありがとうございます」
馬車から降りてすでに到着していた貴文様と郁世様は私たちを待っていてくださって彼らが先を歩き、その後ろに私たちが歩く。
向かった先はお城の中にある大ホールに向かう。大ホールに近づいていくと人が多くなっていた。
「人が多いんですね」
「あぁ、国中の貴族たちが集まってくるからね」
「国中……」
ホールに入場すれば、そこは見たこともない煌びやかな世界が広がっていた。