花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
「……綾様、どうしてその色を……っ」
「沙梛っ! どうやって長宗我部様を誑かしたのよ!?」
「誑かしてなんていません!」
「じゃあ、なんで私のこと見てくれないの! あんたが長宗我部様と出会わなかったら……ずっと身代わりをしてくれていたら、もしかしたら私が隣に立っていたかもしれないのに――」
彼女は興奮したように叫んでいたが男性の声に遮られる。
「……っ……」
その方向を見れば、東宮様と士貴様がいらっしゃった。