花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
まさかのまさかだが、私と綾様は似ている。遠くから見たらそっくりどっちがどっちなのか分からないんじゃないかなというくらいに似ていた。なんだか、嫌だけど。
綾様の身代わりになったのはいつだったか自分でも覚えていない。だけど、勉学が苦手な彼女が女学校をサボりたいというわがままからはじまった気がする。その時には私は、女学校で習うであろう事柄は教えていただいていたからなんとかなった。
その日から週に何度か私が“櫻月綾”として、女学校に通った。定期考査も私が受けていてこの前は成績優秀者だったらしい……だから、私を使い評判を上げさせることをした。
その結果ちやほやされ、縁談がたくさん舞い込むようになりもっと彼女はちやほやして調子に乗ってしまったのだから。
そんなちやほやが大好物で自分大好きな彼女が今までの中でとても嬉しいことが起きた。