花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
◇羨むくらいの幸せを。
おもてなしの香席が終わり、私は長宗我部邸に戻れると思ったのだがそうはいかなかった。その翌日に、東宮と帝が訪問してきたのだ。
香席のことをとても褒めて茶も美味しかったとまた点ててほしいと言われ恐縮する。その次に女御も訪問してきて私がやった“菖蒲香”がとても良かったと癒されたと言ってもらい、自分自身を褒められたことなかったので嬉しくて微笑む。
その翌日に離宮から長宗我部邸に戻ってきた。長宗我部邸では貴文様や郁代様が待っていて私を抱きしめてくれた。とても幸せな気持ちになる。
屋敷の中に入れば、東宮から反物がたくさん送られてきていた。それがとてもいっぱいあって驚きが隠せない。
帝都は結華郷に比べてやっぱりとても華やかだった。人も多いが、お店も多くて士貴様は私を連れて反物屋に連れて行って当ててみたり私に似合う物を全て購入し、雑貨屋さんでは綺麗な切子グラスにうっとりしたり、甘味処であんみつを食べたりと……空が茜色に染まってくる時間になってしまった。
そして、士貴様の案内で綺麗な景色の場所に案内される。