別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
「瞳……はあ。いつからないの?」
「んー、いつだろう? でも、三十の大台に乗ったときはすでになかったから、三年くらいかな?」
「三年も? えー、もうなんでそんな状態で黙ってるわけ? そんな深刻な悩み抱えてるとは思ってなかったわ」
「いや、別に深刻じゃないって。それがそんなに重要とは思ってないし」
「十分深刻な問題だと思うけど。だって、淋しいんでしょ?」
そこを言われると弱い。淋しい気持ちだけはどうしても消えてなくならないのだ。
「……まあ、そうだけど」
「それこそ家族なんだから言えばいいじゃん。そんなところで遠慮してないでさ」
「うーん、そこは家族だからこそ言いにくいっていうか」
「どうして?」
「だって、これからもずっと一緒にいるんだよ? 上手くいかなかったときがつらいじゃん」
もし瞳から何かを言って拒絶されたらと思うと怖いのだ。今さら拓海と離れる未来なんて考えられないから、どうしても二の足を踏んでしまう。自分のことをまだ若いなんて思っていても、もう勢いで進めるほどの若さはない。波風立てずにこのまま過ごすほうがいいと思ってしまうのだ。
「ずっと一緒にって、それ逆もそうなんじゃない?」
「え?」
「このまま何も言わなかったら、淋しいのがずっと続くってことじゃないの?」
「それは……」
「西浦は淋しいって言われて無視するようなやつなの?」
「いや、そうは思わないけど……」
拓海はそんな薄情な人ではないとわかっている。でも、変に気を遣わせるようなことになったら、それはそれで苦しい。何も知らないほうがマシだと思ってしまう。
「今も西浦は大事な人なんでしょ? 大事な人にはちゃんと話したほうがいいんじゃない?」
「うーん……まあ、考えとく」
芳恵に諭されるとその通りだと頷いてしまいそうになる。でも、どうしても今は無理だから、瞳は曖昧な返事でその場をごまかしたのだった。
「んー、いつだろう? でも、三十の大台に乗ったときはすでになかったから、三年くらいかな?」
「三年も? えー、もうなんでそんな状態で黙ってるわけ? そんな深刻な悩み抱えてるとは思ってなかったわ」
「いや、別に深刻じゃないって。それがそんなに重要とは思ってないし」
「十分深刻な問題だと思うけど。だって、淋しいんでしょ?」
そこを言われると弱い。淋しい気持ちだけはどうしても消えてなくならないのだ。
「……まあ、そうだけど」
「それこそ家族なんだから言えばいいじゃん。そんなところで遠慮してないでさ」
「うーん、そこは家族だからこそ言いにくいっていうか」
「どうして?」
「だって、これからもずっと一緒にいるんだよ? 上手くいかなかったときがつらいじゃん」
もし瞳から何かを言って拒絶されたらと思うと怖いのだ。今さら拓海と離れる未来なんて考えられないから、どうしても二の足を踏んでしまう。自分のことをまだ若いなんて思っていても、もう勢いで進めるほどの若さはない。波風立てずにこのまま過ごすほうがいいと思ってしまうのだ。
「ずっと一緒にって、それ逆もそうなんじゃない?」
「え?」
「このまま何も言わなかったら、淋しいのがずっと続くってことじゃないの?」
「それは……」
「西浦は淋しいって言われて無視するようなやつなの?」
「いや、そうは思わないけど……」
拓海はそんな薄情な人ではないとわかっている。でも、変に気を遣わせるようなことになったら、それはそれで苦しい。何も知らないほうがマシだと思ってしまう。
「今も西浦は大事な人なんでしょ? 大事な人にはちゃんと話したほうがいいんじゃない?」
「うーん……まあ、考えとく」
芳恵に諭されるとその通りだと頷いてしまいそうになる。でも、どうしても今は無理だから、瞳は曖昧な返事でその場をごまかしたのだった。