別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
「瞳。後ろ向いて? ぎゅってしてやる」
「ふふ、ありがとう」

 瞳が拓海に背を向けると、拓海は後ろから瞳を包み込むように抱きしめてくれた。二人の体がピタッとくっついていてとても心地いい。


「あー、すべすべしてて気持ちいい」

 拓海は瞳のお腹に直接触れて撫でてくる。それは最近の拓海のお気に入りらしく、拓海は毎晩のようにこうして触れてくる。

「それ恥ずかしいんだけど」
「なんでだよ。いいだろ? 瞳のお腹撫でるの好きなんだよ。触り心地が最高」
「……やっぱりちょっと肉ついちゃったかな?」

 何となくわき腹の脂肪が増えたような気がして瞳は気になっていた。触り心地がいいというのも脂肪がついたせいじゃないかと思っていた。

「え、そんなこと気にしてたのか?」
「だって……」
「瞳はむしろ足りないくらいだろ。どちらかというと俺のほうがヤバい」
「え? 全然そんなことないじゃん」

 拓海の体はちゃんと引き締まっている。ヤバいところがあるなんて瞳には思えない。

「いや、やっぱり昔と比べると違うから。油断するとヤバい。最近あまり運動してなかったしな」

 それには瞳も同意したかった。瞳もほとんど家にいて全然運動できていない。筋力もかなり落ちている気がする。

「私も。ほとんど家にいるから」
「じゃあ、久しぶりにテニスでもしにいく?」
「したい!」
「じゃあ、今度行こうか」
「うん、行く」
「約束な」

 なかなか一人では運動をする気になれないが、拓海と一緒なら楽しくできそうだ。それに大学時代、瞳はテニスをしている拓海の姿に随分と惹かれていたから、拓海がテニスをしている姿を見られるのはとても楽しみだ。
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