別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
 そのまましばらく何も言わないで拓海がテニスしている姿を思い浮かべていれば、拓海から少し強めにきゅっと抱きしめられて、妄想から意識を呼び戻された。

「はあ、これ本当に最高だな。柔らかくて、温かくて、ずっとこうしてたくなる。マジで幸せな気持ちになる」
「私も。拓海に包み込まれるの幸せ」

 この格好は拓海に守られているようでとても安心する。瞳のすべてを拓海に預けたくなる。

「こんなにすっぽり収まるなんて、きっと瞳は俺にこうやって抱きしめられるために生まれてきたんだな」
「ふふ。きっとそうだね」
「だろ? んで、俺はこうやって瞳を抱きしめるために生まれてきた」
「そうなら嬉しい」
「はは、素直な瞳かわいい。瞳、ちょっとだけこっち向いて?」

 その言葉に素直に拓海のほうへ振り向けば、すぐさま口づけが降ってきた。それは一回では終わらなくて、離れるとまたすぐに口づけが降ってくる。口づけられるたびに、拓海の気持ちを送り込まれるようで、ものすごくくすぐったい気持ちになる。

「ダメだな。止めどきがわからなくなる」
「じゃあ、もう少し?」
「少しで終わればいいけど」

 少しだけ荒くなった口づけに応えていれば、結局互いにその先を求めてしまい、満足するまで二人は体を重ねていた。
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