別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
 しばらくして瞳の涙が治まると、芳恵は優しく瞳の様子を窺ってきた。

「少しは落ち着いた?」
「うん……ありがとう」
「もう一杯飲む?」

 芳恵は空になった缶を振りながらそう聞いてきた。その気遣いが嬉しい。けれど、飲めばまた取り乱してしまいそうな気がして、その申し出は断った。

「ううん。もういい」

 そして、瞳は思っていたことを話しはじめた。
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