別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
瞳が拓海にその話を切りだしたのはその日の夜のこと。拓海はいつも夕飯のあとにスマホをいじってだらだらとしているから、瞳はそこを狙って話しかけた。
「拓海。ちょっと話がある」
「え? 何だよ、改まって」
拓海の真正面に回り込んで、瞳が正座をしたから、いつもとは違うとわかったのだろう。さすがに、半年も家を空けるわけだから、言うならちゃんとした姿勢で言うべきだと思って瞳はそうしていた。
「うん。あのね……」
瞳はそう言ってから、今の実家の事情を話した。祖母の怪我に、母が祖母の介助に行くこと。拓海はその話をちゃんと真剣に聞いてくれていた。
「そっか。おばあちゃん、早くよくなるといいな」
「うん」
「聖はどうするんだ?」
「実はそれが本題なんだけど……聖を一人にはできないから、お母さんがいない間、私が実家に戻ってもいいかな?」
「……あー、なるほどな。まあ、確かにそれが一番いいわな」
拓海は少しだけ考えるようにしてからそう返してきた。
「うん……聖、今年受験だし、受験に集中させてあげたいんだよね」
「確かに、そうだな。わかった。いいよ。俺のことは気にしなくていいから、実家のほう助けてやれよ」
「ありがとう、拓海」
やはり拓海は反対しなかった。予想通りだ。ちゃんと理解をしてもらえて嬉しい。けれど、同時に淋しくもなった。拓海は瞳が半年もいなくなることに対して、少しも気にするような素振りを見せなかった。まったく気にしていないようだった。少しは嫌がる素振りを見せてくれるんじゃないかとほんの少しだけ期待していたが、そんな淡い期待は儚く散ってしまった。
一人で淋しくないのかと詰め寄りたくなるが、自分からお願いしておいてそんなことを言えば、面倒くさい人間まっしぐらだから、瞳はその言葉を早々に飲み込み、感謝の言葉だけを伝えた。
「拓海。ちょっと話がある」
「え? 何だよ、改まって」
拓海の真正面に回り込んで、瞳が正座をしたから、いつもとは違うとわかったのだろう。さすがに、半年も家を空けるわけだから、言うならちゃんとした姿勢で言うべきだと思って瞳はそうしていた。
「うん。あのね……」
瞳はそう言ってから、今の実家の事情を話した。祖母の怪我に、母が祖母の介助に行くこと。拓海はその話をちゃんと真剣に聞いてくれていた。
「そっか。おばあちゃん、早くよくなるといいな」
「うん」
「聖はどうするんだ?」
「実はそれが本題なんだけど……聖を一人にはできないから、お母さんがいない間、私が実家に戻ってもいいかな?」
「……あー、なるほどな。まあ、確かにそれが一番いいわな」
拓海は少しだけ考えるようにしてからそう返してきた。
「うん……聖、今年受験だし、受験に集中させてあげたいんだよね」
「確かに、そうだな。わかった。いいよ。俺のことは気にしなくていいから、実家のほう助けてやれよ」
「ありがとう、拓海」
やはり拓海は反対しなかった。予想通りだ。ちゃんと理解をしてもらえて嬉しい。けれど、同時に淋しくもなった。拓海は瞳が半年もいなくなることに対して、少しも気にするような素振りを見せなかった。まったく気にしていないようだった。少しは嫌がる素振りを見せてくれるんじゃないかとほんの少しだけ期待していたが、そんな淡い期待は儚く散ってしまった。
一人で淋しくないのかと詰め寄りたくなるが、自分からお願いしておいてそんなことを言えば、面倒くさい人間まっしぐらだから、瞳はその言葉を早々に飲み込み、感謝の言葉だけを伝えた。