別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
「はは、そうか。そうだな。俺も同じようなこと思ってた。瞳と聖と三人で過ごすうちに、俺たち以外の家族がいてもいいなって思った。二人の暮らしに俺たちの子供がいる未来があってもいいなって思うようになったんだよ」
「そっかー。同じこと感じてたんだね。私、三人で過ごすのすごく幸せだなって感じてた」
「ああ。本当に幸せだった。なあ、俺らさ、結婚してすぐの頃は子供のことなんて考えられなかっただろ?」
「うん。私は仕事変わったばかりだったし」
「そうだな。俺もまずは二人の暮らしをどうにかしないとって気持ちが大きかった。でも、今なら迎えられると思ってる。瞳はどう思う?」

 今なら……生活リズムができあがっている今なら、金銭的余裕もできた今なら、仕事も上手くこなせるようになった今なら、そして何より互いを想い合えている今なら大丈夫だと瞳も思える。

「私も今なら大丈夫だと思う」
「じゃあ、無理はせずにつくってみる?」
「無理はせずに?」
「ああ。授かりものって言うし、自然にできるかどうかはわからないだろ?」
「そうだね。できない可能性はあるね」
「でも、だからって最初から頑張りすぎたら疲れると思うんだよ。だから、今は避妊をやめるだけ。それでいつも通り二人で暮らしていく中で、もしも子供ができたならその子を歓迎する。できない場合は、そのときのお互いの気持ちを尊重して、頑張るかどうか決める。俺はそれがいいと思う。もちろん今から頑張りたいって言うなら、その気持ちも尊重する。どう?」

 それは二人らしくていい選択だと思う。二人の暮らしが核にあって、今はそれを大事にしたいという気持ちもあるから、それを変えない範囲で望んでみるのは、今の二人にはちょうどいいだろう。

「今は自然に任せたいってことだね。私もそれがいい」
「じゃあ、そうしよう。俺たちは愛し合うだけ。でも、迎え入れる心構えだけはしておく」
「いいね。もしもそれで子供ができたら、きっとたくさん愛せるね」
「そうだな。俺たちが愛し合った結果だから」

 どういう未来になるかはわからないけれど、どんな未来でも拓海と力を合わせて生きていけばきっと大丈夫だろう。家族が増えてもそうでなくても、今の気持ちを大事にしていれば幸せに暮らしていける。二人の愛はもう強固に結ばれているのだから。
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