別居恋愛　～もう一度恋からはじめよう～
　約束の日の今日。拓海と瞳が連れ立って指定されて店に行けば、下山のほうが先に着いていた。案内されたテーブルにはすでに下山の姿がある。

「瞳ー」
「芳恵ー、お待たせ」
「ううん。私もさっき着いたから。西浦久しぶり」
「ああ。久しぶり。今日って三人じゃないのか？」

　案内された席はなぜか六人掛けだった。予約をしているのだし、三人で六人掛けの席に案内されるのはさすがに不自然だ。

「実はあと二人来るんだよね。西浦も知ってる人だから大丈夫だよ。でも、まだ少し時間かかるみたいだから、とりあえず注文済ませちゃおう」

　注文を決めるために三人でメニューを眺める中、いったい誰が来るのかと問うてみたが、あとでわかるからと教えてはもらえなかった。瞳はどうやら知っているようだったが、瞳も教える気はなさそうだ。おそらくは大学時代の知り合いなのだろうが、ここに呼ぶようなメンバーなんていただろうかと疑問に思う。普通に考えれば優だろうが、拓海がまだ距離を取っていることはわかっているはずだし、優だったなら、来るのはあと二人じゃなくて一人だろう。

　誰が来るのかものすごく気にはなるが、いくら聞いても教えてはくれなさそうだ。拓海は大人しくその人物たちが来るのを待つことにし、注文決めへと意識を集中させた。
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