別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
「……優」

 優と由美は下山の横、拓海と瞳の向かい側の席へと座った。そして、座った直後、優は勢いよく頭を下げてきた。

「拓海。相澤も。本当にごめん。本当にすみませんでした」
「主人がご迷惑をおかけして本当に申し訳ございません」

 由美も一緒になって頭を下げてくる。だが、彼女がそうする必要などまったくない。悪いのは優一人だ。

「やめてください。あなたは何も悪くありません。全部こいつが悪いんですよ」
「いえ。もとはと言えば、私がこの人に離婚届を持たせたせいですから」
「だとしても、あの行動に出たのはこいつの責任です。あなたは悪くありません」
「そうですよ。由美さんは悪くありません」

 瞳も由美からの謝罪は必要ないと一緒に止めてきた。それでも由美はまだ申し訳なさそうな表情をしている。

 そんな埒が明かないやり取りを止めるように下山が割って入ってきた。
< 151 / 156 >

この作品をシェア

pagetop