別居恋愛 ～もう一度恋からはじめよう～

「いったん状況説明していい？　西浦、ごめんね。騙すようなことして。実はね、私のところに戸田から連絡が来たの。瞳と西浦に謝りたいって。二人が傷ついたの知ってるし、二人が受け入れられない以上は……と思って、私もすぐには応じなかった。でも、由美さんからも連絡が来て、さすがに私のところで止められないと思って瞳に話したの」

　ようやく全貌が見えた。確かに優本人だけならともかく、由美からも言われたのでは断れるわけがない。今の状況に一人納得していれば、瞳が下山の言葉を補足してきた。

「由美さんと芳恵、連絡先交換してたんだって。だから、芳恵経由で由美さんから私に連絡がきたの。戸田からの連絡はほとんど取り合ってなかったから……」

　優の連絡に取り合ってなかったのは拓海も同じだ。拓海のところにも瞳のところにも優本人から謝罪のメッセージは何度か届いていた。けれど、二人ともすぐには許せないと返して、ずっと受け入れなかった。大人げないとも思うが、一歩間違えば二人は別れていたのかもしれないと思うとどうしても簡単には許せなかったのだ。

「すみません。でしゃばるような真似をして。でも、主人にとってきっと一番大事なことだと思ったので、ご迷惑を承知で私からご連絡しました」
「そうでしたか。でも、どうか謝らないでください。下山も謝る必要ないから」

　随分とお節介だとは思うが、下山も由美も、拓海と優のことを思ってしてくれたのだとわかる。だから、この二人が謝罪する必要などない。