別居恋愛　～もう一度恋からはじめよう～
　拓海は大好きな瞳とずっと一緒にいられる生活が本当に楽しくて、毎日毎日幸せに浸りながら暮らしていた。一緒に暮らしはじめたことで瞳のこだわりの強さもそれまで以上に知ることとなったが、瞳のためなら多少の努力は惜しまなかった。一緒にいられることのほうが嬉しくて、そこまで気にならなかったのだ。

　けれど、時が経つうちにだんだんと面倒に思うことが増え、加えて仕事が忙しくなってしまうと瞳の要望に応えきれなくなることが増えた。大きな喧嘩をしたりはしなかったが、互いに少しの不満を抱いている状態が続くようになった。口を開けばよからぬことを言ってしまいそうで、だんだんと会話も減り、ただ一緒に暮らしているだけという状態ができあがってしまった。

　きっと甘えもあったのだろう。瞳はずっとそばにいてくれると思っていたから、少々自分の好きに過ごしたところで二人の生活が壊れることなどないと思っていた。思いやりが減ってしまっても、二人は家族だから大丈夫だと思っていた。

　でも、その結果があの台詞なのだとしたら、拓海のその考えは間違ったものだったのだろう。あんな言い方は家族であってもするべきじゃなかった。大事な人を傷つけてまで自分を守るなんて最低の行いだと思った。

　瞳は拓海にとって生涯を共に過ごすパートナーなのだ。これからもずっと一緒にいたいと思っている。だから、拓海はもう二度と間違うことのないよう、自分の態度を改めようと思った。ちゃんと瞳に対して礼儀を持って接しようとそう思った。
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