別居恋愛　～もう一度恋からはじめよう～
『もしもし？』
『あー、拓海、あの、ちょっとお願いがあってね』
『うん、何？』

　拓海のその声音が思った以上に優しくて、瞳はドキッとした。前回の会話があの短い電話だったから、瞳は緊張で少しドキドキとしていたのだが、別の意味でも心拍数が上がってしまった。でも、その優しい声音のおかげで、瞳はすんなり次の言葉を発することができた。

『聖がね、拓海も呼んで家で焼肉したいって言ってるんだけど、どこかでこっち来れたりしないかな？』
『あー、そうなんだ』
『うん。忙しかったら気にしなくていいんだけど、どうかな？』
『行くよ。俺も聖に会いたいし』

　思った通り聖の頼みは断らなかった。きっと拓海は聖に会ったら、またいっぱいかわいがってくれるのだろう。

『本当に？　いいの？』
『うん』
『ありがとう』
『ううん。いつやんの？』
『どこかの土曜日にって思ってるけど、それでいい？』
『いいよ。じゃあ、今週の土曜にする？』

　まさかそんなに直近の日程を提案されるとは思わなくて瞳は驚いた。休日はゆっくりしたくもあるだろうし、どこか落ち着いたところで来てくれればいいと思っていたのだ。

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