別居恋愛　～もう一度恋からはじめよう～
『今週でいいの？』
『うん、俺はいいよ』
『わかった。じゃあ、今週の土曜で』
『うん。何時頃行けばいい？』
『あー、焼肉は夕方からしようと思ってるんだけど、ちょっと早めに来れたりする？』
『いいけど、何かあるのか？』
『うん、聖は拓海とゆっくり過ごしたいかなって思うんだよね。だから、早めに来て聖と遊んでくれたら嬉しいなって思って、ダメかな？』

　聖は焼肉そのものよりも拓海との時間を望んでいるはずだから、折角なら二人の時間をゆっくり持たせてやりたかった。

『はは、いいよ』
『ありがとう、拓海。聖喜ぶ』
『おう。なあ、お昼もそっちで食べていい？』
『え、いいけど。お昼から来てくれるの？』
『うん。昼前に着くように行くよ』
『わかった。じゃあ、お昼も用意しとくね』
『ありがとう。あー、そっちの家って駐車場まだ空いてるよな？』

　どうやら拓海は車で来るつもりらしい。父親が海外に行ってしまってから、実家は車を手放したから、実家の駐車場はずっと空いたままだ。車で来ても特に問題はない。

『うん、空いてるよ。車で来るの？』
『うん。ドライブがてらちょうどいいかなって』
『そっか。じゃあ、気をつけて来てね』

　車のほうが時間はかからないが、それでも二時間弱はかかる。事故がないよう安全運転で来てほしいと思って、瞳はそう言っていた。

『うん、わかってるよ』
『拓海、本当にありがとう』
『いや。楽しみにしてるから』
『うん。じゃあ、土曜日よろしくね。またね』
『ああ、またな』

　最初は聖が喜んでくれればいいとだけ思っていたが、瞳もその日が楽しみになった。拓海の優しい声がそう思わせてくれた。なんだか無性に拓海に会いたくなってしまって、たった数日がとても待ち遠しかった。
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