別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
 買い物から帰ると瞳は早速買ってきた食材の下準備を始め、テーブルの上にあれこれと必要なものを並べていった。そうして必要なものを一通りそろえて、自分の席に着こうとしたら、拓海に隣の席へと誘導されてしまった。

「瞳はこっち」
「え?」
「焼肉奉行は俺がやるから、お前はゆっくり食ってろ」
「拓海……ありがとう」

 焼き加減にこだわりがあるとかそういうことじゃなくて、純粋に瞳を思っての提案だろう。それが後半の台詞からわかる。瞳も焼肉のやり方自体にはこだわりはないから、焼肉奉行の役目は大人しく拓海に譲って、瞳は食事を楽しむことにした。

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