別居恋愛 ～もう一度恋からはじめよう～

「あ、拓兄、なんでピーマン入れるんだよ」
「好き嫌いすんな。ちゃんと野菜も食え」
「えー」
「ちゃんと野菜も食べたら、あとでアイス食わしてやるから。ここ来る途中のジェラート屋で買ってきたやつだから上手いぞー？」
「食べたい！」
「じゃあ、ちゃんと野菜も食えよ」
「はーい」

　二人のやりとりがあまりにも微笑ましくて、瞳は小さく声を漏らしながら笑ってしまった。隣の拓海は突然笑いだした瞳にどうしたのかと首を傾げてみせている。

「ううん。なんかいいなーって思っただけ」
「あー、それはわかるな。一家団欒って感じだよな」
「そう、それ！　ふふ、すごく楽しい」
「うん、俺も。ほら、瞳は肉を食え。お前絶対痩せただろ」
「え？」
「違うか？」
「……合ってる」

　瞳は慣れない生活で少し食が細くなって、体重が落ちていた。でも、見た目にはそこまで変わっているとは思っていなかったから、拓海に言い当てられて驚いた。そんなところにまで気づいてもらえるとは思わなかったのだ。

「無理はしなくていいけど、食べられそうならちゃんと食べろよ」
「うん、ありがとう」

　いきなり食べ過ぎて体調を崩しても困るからほどほどにはするが、拓海のおかげで気分が明るくなっている今日はいつもよりもちゃんと食べられそうな気がした。