別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
「大丈夫? 面倒ごと巻き込まれたりしない?」
「あは! 戸田ひどい言われよう! まあ、あいつ余計なことばっかするからね。悪い奴ではないんだけどさ」
「それな」

 芳恵は腕を組んでうんうんと頷いている。戸田は本当にトラブルメーカーなのだ。大学の四年間で瞳も芳恵もそれを痛いほど味わった。しょうもないいたずらをして先生を怒らせたり、詐欺事件に巻き込まれたり、ストーカーと間違われて警察沙汰になりそうになったりととにかく話題には事欠かなかった。他人事として話を聞く分には面白いかもしれないが、瞳たちもたびたびトラブルに巻き込まれて、ほとほと手を焼いていたのだ。

「まあ、特に何もないから大丈夫だよ。会ってるのは拓海だけだし。私はもう全然接触してないもん」
「いや、あいつなら西浦経由でなんかやらかしそうなんだもん」
「やめてよ。そんなふうに言われたら怖いじゃん」
「ごめん、ごめん」
「まあ、拓海なら大丈夫でしょ」
「すごい信頼だね」
「拓海は戸田の扱いに関しては誰よりも上手いから」

 大学時代、戸田が何かやらかすたびに拓海が戸田を連れて各所に頭を下げにいっていた。そして、まるで親が子を叱るように、拓海が戸田を叱るのだ。戸田も拓海には頭が上がらないと思っているのか、拓海の言うことは割とすんなりと聞いていた。

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