別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
『ありがとう、拓海!』
『でも、俺も忘れてるかもしれないし、役に立たなかったらごめんな?』
『ううん。拓海なら大丈夫だよ。あ、教えるのはビデオチャットとかそういうので大丈夫だからね? 実家のパソコンあるし、必要な環境はちゃんと準備するから』
『いや、そんなことしなくても、俺がそっち行って直接教えればいいだろ?』
『え、でも、来るの大変でしょ?』
『大丈夫だよ。まあ、平日は無理だけど、休日なら行けるから』

 直接教えたほうが効率いいと思ったし、向こうに行けば何か瞳の役にも立つこともできるかもしれないと思っての提案だった。

『本当に大丈夫?』
『ああ、大丈夫だよ。なあ、瞳……』
『うん?』
『……あのさ、毎週行っていい?』

 拓海はこれは折角のチャンスだと、ここ最近考えていたことを瞳に聞いてみた。

『え!? それは大変だよ』
『別に大変じゃないから』
『でも、距離あるし、移動だけで結構かかるよ? それに拓海もゆっくりする時間いるでしょ?』
『運転すんの好きだから別に気にならないよ。あとゆっくりするのはそっちの家でもできるだろ?』
『でも……』

 拓海が来るのを嫌がっているわけではなく、純粋に拓海のことを心配しているのだろう。でも、拓海は毎週瞳に会えるほうが嬉しいのだから、瞳が困らないのならそうしたかった。
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