別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
「言えてる。もう戸田の親かって感じだったもんね」
「だね。ふふっ、懐かしい」
「本当にねー。あの頃からはもう十年くらい経ってるよね。時の流れは速いわー」
「本当にそれ。わかる。年々時間が経つスピード速くなるもん」

 子供のころは一年がとても長いものだったのに、今はもう一年なんてあっという間に過ぎ去る。大して何もしていないのに、時間だけがどんどん過ぎていくから、瞳は時の流れの速さに恐怖すら抱いている。

「私それさ、甥っ子の成長を見てるとよく感じるんだよね。いつの間にか小学生になってんの。子供の成長スピード本当に凄まじいから」
「確かに。(せい)ももう中三なんだよね。来年は高校生なんだもん」

 聖は瞳の年の離れた弟だ。瞳とは十七歳差と随分離れているから、聖のことは昔からかわいくて仕方ない。結婚してからは会う頻度も減ったが、それでもたまには弟をかわいがりに実家に帰っている。

「え、聖もう高校生になるの? うわー、大きくなったね。私が最後に会ったとき、まだ小学生だったよ?」
「ねー。小さくてあんなにかわいかったのに。この間会ったらさ、私のこと老けたなとかいうわけ。マジ即しばいたから」
「それは躾が必要だわ。そんなこと言う子に育てちゃあだめだ」
「だよね。もうその台詞録音しといて、聖が同じ歳になったときに聞かせてやろうかと思ったから」
「いいね、それ。自分が同じ歳になったら、その罪深さに気づくよね」
「本当にね。でもなー、私も子供のころは三十路なんてもう立派なおばさんってイメージだったからなー」

 小さかったあの頃、二十代はおねえさん、三十歳以降はおばさんという漠然とした認識があった。きっと今の子供たちも同じような認識を持っているんじゃないかと思う。小学生からしたら瞳たちは立派なおばさんだろう。

< 7 / 156 >

この作品をシェア

pagetop