別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
 そして、恒例になった瞳との寝る前の会話の時間。拓海が自分の気持ちを伝えたからか、この日の二人はとても優しい空気に包まれていた。

「拓海、今日お昼ご飯作ってくれてありがとう。すごく嬉しかった」
「うん。喜んでくれてよかった。瞳が喜んでくれるのが俺も嬉しい」
「拓海……ありがとう。そうやって気持ち聞かせてくれるのも嬉しい」
「ああ。俺もこうやって瞳と思ってること話せるのが嬉しい。これまで感謝の言葉とか何も言わなくて本当にごめんな?」

 今日はするすると自分の思っていることが口から出てくる。きっと二人の間の柔らかい空気がそうさせているのだろう。

「ううん。それは私もだよ。いろいろお願いばっかりして、ありがとうって言ってなかった。私こそごめんね?」
「いや、瞳のお願いにちゃんと応えてやれてなかったし。これからはもっと自分の気持ち伝えて、もっと瞳のこと思いやりたいって思ってる」
「私も。こうやってね、拓海といろいろ話して、お互いの思ってること知っていけるのいいなって思ってる」
「そうだな。俺たち、今になってようやくお互いのことをちゃんと知れてるのかもな」

 今までだったら恥ずかしくて面と向かって言えなかったことも自然と言葉にできている。お互いが意識して話をしようと思っている今だからこそ、素直に伝えられるのだろう。
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