別居恋愛　～もう一度恋からはじめよう～
「ねぇ、拓海。私が作ったおかず、保存容器に入れて持ち帰れたら嬉しい？　日曜の夜とか平日とかに食べれるように」

　以前、拓海はスーパーの弁当は飽きたと話していた。だったら、平日にも食べられるようにいくらかおかずを持たせてやれば、喜んでくれるんじゃないかと思ったのだ。

「それはー、もちろん嬉しいけど」
「本当？　じゃあ、明日いくつかおかず作って持たせるね」
「でも、作るの大変じゃない？」
「ううん。大丈夫だよ」
「本当に？」

　やはり最近の拓海はよく気遣ってくれる。瞳が無理をしないかと心配してくれているのだろう。でも、元々料理は好きだし、瞳と聖の分も一緒に作ってしまえば大して作業量は増えない。

「本当に大丈夫だよ」
「じゃあ、お願いしようかな。ありがとうな、瞳」
「ふふ、うん」

　そうして瞳は拓海におかずを持たせるようになり、拓海はいつもいつも嬉しそうにそれを受け取ってくれた。しかも、拓海は何を食べたのかと「美味しかった」の言葉を毎回律儀にメッセージで送ってくれて、瞳のほうが嬉しくなってしまった。次の土曜日には空になってきれいに洗われた保存容器を「ありがとう」と言いながら瞳に渡してくれるから、本当に作り甲斐があった。
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