別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
 拓海が喜ぶことをしてあげられて、本当によかったなと思っていた瞳だが、ある日の眠る前の会話で拓海は瞳に心配の声をかけてきたのだった。

「なあ、瞳、本当に無理してない?」
「え?」
「瞳がおかず持たせてくれるの本当に嬉しいけど、それで瞳に負担がかかってたら嫌なんだよ」

 瞳は楽しんでやっていたのだが、これは相当拓海に心配をかけていたらしい。拓海は眉をひそめて、瞳のことを見ている。最初にちゃんと全部伝えてあげればよかったなと瞳は思った。まだまだ想いを伝える力が足りないようだ。

「大丈夫だよ。料理は好きだから。多めに作って、私と聖の分も一緒に作り置きしてるの。だから、大丈夫だよ。むしろ楽しいんだよね。拓海いつも喜んでくれるし、私も嬉しいんだよ?」
「そっか。でも、頑張りすぎるなよ?」
「うん、ありがとう。拓海こそ無理しないでね? 疲れてるときとか無理に来なくてもいいからね?」

 どう考えても拓海の負担のほうが大きいと瞳は思っている。平日はフルタイムで働いているのに、休日に時間をかけてこっちまで来てくれて、さらには聖の勉強を見てくれたり、瞳を手伝ってくれたりと本当に休まる暇がないのではないかと思ってしまう。無理して二人の関係が壊れてしまうくらいなら、拓海にはもっと自由に過ごしてほしいと瞳はそう思っていた。
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