別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
「は? なるわけないだろ? ……聖、それ気にしてたのか? もしかして俺が瞳に愛想尽かすとか思ってた?」
「だって、姉ちゃんずっとこっちにいるから……」

 もしかしたらずっと心配をかけていたのかもしれない。自分のせいで拓海と瞳が離れてしまっていると。

「そうか。ごめんな、心配かけて。でも、大丈夫だよ。瞳のこと嫌いになるなんて絶対にあり得ないから」
「……本当に?」
「お前、ちゃんと俺たちのこと見てたか? 俺と瞳の仲、そんなに悪く見えたか?」
「ううん。ウザいくらいラブラブに見える」

 その台詞を聞いて思わず笑ってしまった。ちゃんと伝わっていたらしい。互いに想い合っているという態度は一切隠していなかったから当然と言えば当然かもしれない。聖の前でむやみに瞳に触れるようなことはしなかったが、言葉では自分の想いを伝えるようにしていた。聖がいてもいなくても。

「はは。そうだな。ウザいくらいラブラブだな。だから心配するな。今は瞳の好意に甘えとけ。聖には悪いけど、聖の受験終わったら、俺が瞳連れて帰っちゃうから、今のうちだけだ」
「……うん」
「俺たちの心配はいらないから、聖は自分の受験に集中しろ。な?」
「わかった」
「よし。じゃあ、あとで瞳にありがとうって言っとけ。絶対喜ぶから」
「うん」

 聖は拓海に返事した通り、瞳に「ありがとう」と告げていて、瞳はそれを目に涙を浮かべながら喜んでいた。ちゃんと互いを想い合っているいい姉弟だなと拓海は二人の姿を見つめていた。
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