芭くん、もっと
芭くんは吸血鬼
私、日村あずさ(ひむらあずさ)のクラス。
そこには、──────吸血鬼がいる。
名前は、藤沢芭(ふじさわばら)くん。
彼の目は紅くて、誰もが釘付けになるほど。
「…………んっ、芭くっ、」
そんな注目の的の芭くんに、
私は今日も──────血をあげている。
チクリと入ってくるその痛みにはまだ慣れない。
だから、いつも恥ずかしい声が出てしまう。
「ふっ、かわいーね、あずさ」
私の声を聞くと芭くんはいつも決まってそう言う。
私は恥ずかしいのに。
「芭くん、誰にでも言ってるでしょ」
芭くんは、
“可愛い”を誰にでも言う。