芭くん、もっと
「うん。言うね」
ほらね。
芭くんは素直に答えちゃう。
私だけにその言葉を欲しいのに。
「知ってる……よ」
その言葉を言う私と、
芭くんの目が合った。
「俺の目、綺麗?」
「うん。綺麗」
私の心を読み取って、
聞いてくる芭くんはずるい人。
そう、──────出会った日もそうだった。
*
私が綺麗な目の芭くんを初めて見たのは1週間前。
理科室に忘れものをした時だ。
『やばい!ノート!』
忘れてしまった理科のノートを探すために確認もせず理科室を開けた。
『あー、日村さんやっほ』
黒いカーテン越しのところ。
芭くんがいた。
その目は──────紅かった。