芭くん、もっと
芭くんの紅い目を見た瞬間。
──────ゾクリとした。
芭くんに惹きつけられた。
今までにないほどに。
『ばっ、芭くん、その目………』
『俺、吸血鬼だから』
あまりに無意識に出た私の声に、
芭くんはそう言って微笑んだ。
それからだ。
私が芭くんに
──────血をあげるようになったのは。
*
初めて紅い目を見た時にはもう恋に堕ちていて。
いつか私が一番になれたら…………
そんな思いを抱きながら、
私は今日も──────芭くんに血をあげる。
「芭くん、もっと、飲んでいいよ」
「ん、ありがとー!」
いつか一番になれるその日まで、
私はこの生活を手放さない。
END