女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
「今日はゆっくり休むことだ、いいな。後で栄養剤を届ける」

「翡翠さんにはいつも助けていただいていますわね」

翡翠は桜花の体調を気遣い、対局後には自社の栄養剤と流行りの和菓子やスイーツなどを届ける。

桜花はそれがいつも楽しみだ。

翡翠は桜花を家まで送り届けた後、自社に向かい自社製品の栄養剤を準備した。

贔屓にしているスイーツ店に寄り、桜花が好みそうな菓子を買い、吉野邸に向かった。

玄関に出た家政婦に「桜花さんに」と手渡した。

翡翠は対局で疲れている桜花に要らぬ気遣いはさせたくない、ゆっくり休んでほしかったからだ。

「お嬢さま、翡翠さまから差し入れです。今日は扇寿堂の……」

自室で休んでいた桜花は、翡翠からの言伝てを受け取り、翡翠の優しさを噛みしめた。


大光建設杯清麗戦、予選第6回戦は6月末に行われた。
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