女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
「君は何があっても、桜花を守りきれると言うのか」

「私は私にでき得る限り、桜花さんを守ります。譬えこの命に換えても、桜花さんを守る覚悟はできております」

偽らざる翡翠の思いだ。

桜花が将棋を指す時は、翡翠自身も身の引き締まる思いで、何手も先を考えるほどだ。

翡翠は自分自身がもう女流プロとして闘っている桜花の実力には及ばないことを重々、承知している。

でも翡翠自身、1度はプロ棋士を目指していたのだ。

棋士として闘う気持ちも厳しさも苦しさも、勝ちたい、強くなりたいという思いも共感できる。

桜花が学業も人一倍努力し、都内でも有数の進学校で上位の成績を修めていることも知っている。

吉野の指定した大学の受験を目指し、週3で予備校に通っていることも知っている。

桜花が高校生活の楽しみを犠牲にしながら、愚痴1つ溢さず、将棋が楽しいと日々奮闘している姿を観ているのだ。
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