女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
7章 定石がなんですの?
7月7日。

大光建設杯清麗戦 本戦第1局は東京都千代田区、HOTELニューオータニで行われた。

桜花は桐蔭女子学園の制服姿で対戦の30分前、会場に到着し、対戦相手が現れるのを今か今かと待った。

初々しい制服姿の桜花に、報道や記者のカメラのシャッター音とフラッシュの光がけたたましかった。


対戦開始10分前。

見里加奈が会場に颯爽と現れた。

桜花が会場入りした時の2倍のシャッター音とフラッシュが焚かれた。

見里加奈子、26歳。

羽織袴で黒髪をあごのラインくらいのボブにしている。

見里は気合いじゅうぶん、貫禄もじゅうぶん、眼光も鋭く、桜花を見据えた。

「見里清麗、今日の意気込みは?」

「かかってきなさい、でしょうか」

見里はつんと澄ました顔をカメラに向けた。

「吉野さんは?」

「今日は胸をお借りして、伸び伸びと指させていただきます」
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