女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
11章 勝てば良いのでしょう
8月7日。大光建設杯 清麗戦 第3局は大阪府大阪市グランドホテル大阪で行われた。


見里加奈 清麗、先手。

(見里はグレーのスーツ姿で対局に臨んだ。

吉野桜花女流4段、後手。

神妙な面持ちで、第3局は始まった。

負ければ後がない見里清麗は、桜花よりも更に慎重になっていた。

前回の対局の時よりも表情も硬く険しかった。

後手、桜花が8七歩と指し角の道を開けると盤上は活気づいた。

中盤、先手見里5六角を受けて後手桜花が5四飛、続けて先手見里4ニ桂。

後手桜花4八金、互いに拮抗を繰り返したが、先手見里清麗が7七馬と指し、形勢は一気に先手優勢になった。

AIの予想は先手80%、後手20%と、明らかに桜花が劣勢だ。

終盤はどちらも既に持ち時間は使いきり、1分以内の秒読み指しになっている。

後手、桜花は3四金と指したが納得のいく1手ではない。
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