女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
「暢気な人ね。次は気を抜かないことね」

見里清麗は笑顔で答えた桜花に苛ついたのか、ピシャリと言い、席を立った。

「ありがとうございました」

桜花は見里の背中に向かって最敬礼した。

内心は次は絶対に負けない、負けられないと悔しさでいっぱいて、闘志を漲らせていた。

対局後。

桜花はたこ焼きを食べ、新幹線で東京駅に到着した。

師匠端島に報告をと電車に乗り換えた。

「あらっ? 翡翠さん!?」

桜花は渋谷駅改札を出て、端島邸に向かう途中、翡翠の姿を見かけた。

翡翠の隣には清楚な女性がいた。

翡翠は女性をエスコートし、イタリアン店に入っていった。

「あの女性はいったいどなたですの? ずいぶん親しげでしたわ」

桜花は翡翠の隣にいた女性が気になりつつ、端島への報告を何とか済ませ帰宅した。

桜花が玄関を開けると、メイドが玄関に走りこんできた。
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