女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
12章 私の辞書に
桜花は翡翠に心配をかけまいと、翡翠にお見合いの話は一切、訊ねなかった。

数日おきに、Web将棋で北方玄武と対局できたことで、何故か気持ちが落ち着いた。


8月22日。

大光建設杯清麗戦 第4局は、大阪府大阪市関西将棋会館で行われた。

会場の内も外もタイトル戦 第4局で賑わっていた。

視聴室には端島、萩尾、翡翠の姿もあり、対局開始を今か今かと待っている。

桜花の席側のお盆には、翡翠が差し入れた如月製薬の栄養ドリンクが数本セッティングされている。


関西将棋会館前ではテレビ局のレポーターが、第4局の見処を説明していた。

「大光建設杯 清麗戦、第4局。挑戦者の吉野桜花女流4段が2勝、見里清麗が1勝。今日、吉野女流4段が勝てばタイトル奪冠。見里女流6段の連覇は潰えます。見里か吉野か、間もなく対局開始です」

対局室。

桜花の首には翡翠からもらった八幡宮のお守りがかかっている。
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