女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
見里は羽織袴、胸元に扇子と気合いじゅうぶんだ。

「見里清麗、意気込みは?」

見里「勝ちます。何がなんでも勝ちます」


見里は桜花を一瞥し、カメラに向かって言いきる。

記者1「吉野女流4段。勝てばタイトル奪取ですが」

桜花「ええ、勝ちますわ。いえ、勝たねばなりませんの!」

カメラフラッシュが次々にたかれる中、桜花は翡翠を思い浮かべ、胸を張る。


立会人が「開始時間になりましたので、対局を開始します」と宣言した。

先手、見里加奈清麗。

後手、吉野桜花女流4段。

初手は2六歩から始まった。

桜花が8四歩、続けて見里が4ニ金。

互いに慎重な1手を重ねていった。

中盤、形勢は見里61% 対する桜花39%で桜花が劣勢だ。

桜花は1時間長考し、5六歩と指すも形勢は見里優勢のまま迎えた150手目。

桜花は6ニ銀と指したが見里86% 桜花14%と、形勢は桜花が劣勢。
< 59 / 66 >

この作品をシェア

pagetop