女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
「それは確か、初めて将棋を教えてもらった人が」

「ええ」

桜花に向けられたカメラのシャッター音とフラッシュの嵐が鳴りやまなかった。

桜花は翡翠からもらった八幡宮のお守りに、そっと口づけた。

そこに翡翠が桜花の名を呼びながら、記者たちを掻き分け現れた。

「桜花!」

翡翠は桜花の姿をとらえると、桜花の体を抱き寄せた。

「桜花、よくやった」

桜花の耳元で囁く。

「翡翠さん、勝ちましたわ」

フラッシュは更に明るく眩しく、桜花と翡翠に向けられた。
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