女流棋士はクールな御曹司と婚約したい

自分を責めているような翡翠をどうすれば笑顔にできるのか、桜花は勝てばいいの!と気合いを入れた時のことを思い出した。

「俺は見合いのことを耳に入れてはいけないと、父に口止めまでして、秘書に相談したというのに。桜花は強いな。ご褒美……お礼は何がいい?」

桜花はあの日、翡翠とイタリアンの店に入っていった女性は秘書だったのかと、納得した。

「如月社長の気が変わらないうちに、婚約発表は如何かしら?」

桜花は晴れやかな表情で、翡翠の顔を見上げてやわらかく笑う。

「大光建設杯 清麗就位式に発表するというのは」

見つめ合う2人に、カメラのフラッシュがたかれ続ける。

「愛している」

「愛していますわ」

2人同時に呟き、翡翠が桜花をキュッと抱きしめた。


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