幽霊の依子さんは 今日も旦那様を愛す
?!


驚いて大路さんを見上げると、
「のぼせた?我慢しなくていいよ。降りる?」
と、大路さんが心配そうに囁いた。

「姫川さん、小さいもんね。目の前をスーツで囲まれたら苦しいよね」

「いえ。本当に大丈夫です」
慌てて首を降り、
「今日は大路さんがいてくれるので、むしろ楽です。はい」


大路さんは、少し考えるように視線を動かした。そして、

「私はだいたいこの電車で仕事に行きます。 
もし姫川さんが私を見掛けたら遠慮せず声をかけてください」

「え?」

「このくらいでよければ姫を守りますよ、
なんてったって私の名前は『おおじ』ですから」
と微笑んだ。

その顔と提案に心を射ぬかれ、固まった。

「あ、ごめん。
冗談だったんだけど、もしかして、引いた?」

「い、いえ!引いてない!
驚いちゃって。
あ、あの。嬉しいです!
むしろありがたいです!」

「びっくりしたーよかったー」

胸を撫で下ろす大路さんに、
「見掛けたら声をかけるんで守ってくださいね。王子様」
と言うと、はははと笑われた。




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