課長のケーキは甘い包囲網
私が鍋敷きを持ってきて鍋を置く場所を作って、彼が鍋を置いた。
「心配?何言ってんだよ、心配なのはこっちだ。ぼけっとしていて、田崎は本当に困ったもんだ」
「すみませんね、ぼけっとしていて。なるべく早く出て行きますから」
鍋の蓋を開けたらいい香りがしてと海鮮がたくさん入っているのが見えた。
「少し割れているかにとか、色々もらってきた。海鮮鍋にしたんだ。春日いいとき来たな。お前本当に鼻が効くんだな。前も作っているときに来たことあるよな」
「ああ、俺はお前の料理の鼻だけはきくんだ」
「ほんとにおそろしい鼻だな、春日」
「田崎さん、君も最初はこうやって俺みたいに餌付けされたんだろ?」
「……確かに否定できません」
「田崎さん、女の子なのに料理苦手だったの?こいつに習うってスイーツ作りじゃないんだろ?」