課長のケーキは甘い包囲網

「連絡先は変わってないんじゃないか?」

「いや。数回連絡したが、返事はなかった」

「わかった。あとでメールに入れて送っておくよ」

「ありがとう。色々とすまない」

「ああ、お前も澄川に負けないように次の恋を頑張れよ。じゃあ、ごちそうさん。彼女によろしくな」

「ああ。あ、待て。このワイン持って行け。お礼だ」

「いや、俺こそこんなに食って悪かったな。彼女の分なくなったかもしれないぞ」

「いや、いい。あいつにはまた別に作るから……」

「ほおお、それは随分と可愛いがってんだな……色々ごちそうさん」

 そう言って、春日は帰っていった。

 しばらくして、有紀の連絡先が送られてきた。やはり前とは違っている。わざと変えたんだと思った。
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