課長のケーキは甘い包囲網

「あ、あの。す、好きな女っていうのは、もしかして、その……」

「中学生じゃあるまいし、こんなことくらいで何だ?やはり、俺はお前が好きかもしれん」

 菜箸を持ったままの彼女を自分の方へ向けた。そして、もう一度おでこにキスを一つ落とした。

「酔ってるからでしょ?しらふのときに言って下さい。お酒くさいですよ」

「もう、ほとんどしらふに戻った。だが……まあ、いい。夜にもう一度言ってやる。そしたら逃げられないからな、覚悟しろよ。そうだ、一応聞いておこう。お前は俺のことどう思ってる?ちなみに上司とか兄とかいうのはだめだぞ」

「夜までに考えておきます。上司とか兄以外で……」

「ふーん」

「あ、そうだ。さっき結構安くて安全なアパートを検索して見つけたんですよ。眠くなっちゃって、寝落ちしましたけど」

「……安くて安全ってお前。全く反省してないな。安くて安全などないぞ」
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