課長のケーキは甘い包囲網

「よくないもん!私がよくないの!」

 俺は田崎を抱きしめた。

「ああ、うるさい。とにかく、鍋を食え。腹が減ってるからイライラするんだよ。さっき、お土産でイチジクのパウンドケーキもらったぞ。お前フルーツケーキも好きだったろ?」

 顔をパーッと嬉しそうに笑顔にして、答えた。

「本当ですか?イチジク?美味しそう。食べたい!」

「でも、まずは鍋と米を食え。しっかり食べて頭をハッキリさせて俺と向き合おう」

 そう言って、彼女の手を引くと、ダイニングテーブルの前に座らせた。

 いそいそと彼女の前に鍋を運び、米も温めて並べてやった。

 嬉しそうに笑ってる。子供みたいだな。でもこれが可愛いんだよ。俺も焼きが回ったな。
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