課長のケーキは甘い包囲網
すごい勢いで食べ出した。むせてる。馬鹿か。よほどお腹がすいたんだな。
時間を見るともう三時だ。春日がいたから昼ご飯というか、朝ご飯も食べられず我慢していたんだろう。
「……美味しすぎる。これがダメなんですよ。だから私甘えてしまって、引越いつまでもできずにすみませんでした。料理も基礎を少し習ったし、何とか後は自分で料理のサイトを見ながら実践してみます」
「そうか、ぜひともこの台所で実践してくれ。俺が残業のときはお前が作っておいてくれたら俺はどれだけ楽だろう」
「そうじゃなくて、私は家を……」
「それは、却下。これからは俺の代わりに食事を作って恩返ししてもらう」
「課長急に……やっぱり酔ってます?変ですよ。そうだ、隠しているの嫌だから言います。篠田課長と喧嘩していたのが心配で、課長の昔の話を少し春日課長に聞いてしまいました」
「……お前に関係ない」
「え?」
「そうだ、ケーキを食べる腹を残せよ」