課長のケーキは甘い包囲網

「……それは違うと思う。ま、とにかく顔で生きてきたなんて、美人さんだから否定はしないけど、それだけなんてことないよ。清水さん最初からすごく優しくてすぐに友達になりたいって思ったもん」

 にっこりと美しい微笑みを見せる彼女はありがとうと言った。

 昼休みが明けて、みんなが集められた。配属が発表になる。会議室に人事担当の人が来て、ひとりずつに配属先を発表した。今年の新入社員は三十人。男性が十人、残りは全員女性。

 清水さんはなんと秘書課だった。びっくりだよね。嬉しそう。ま、彼女の美貌ならしょうがないと他の子達が言ってた。やっぱり美人が配属されるんだな。

「田崎すみれさん。あなたは、総務人事部になります」

「……は?ええ!?」

「頑張って下さいね。ようこそ、総務人事へ……」

 担当の男性から、ニヤリと笑われて、嫌な予感。どうして?全然希望と違うんですけど!

 呆然としている私を見る周りの子達。いいなーという声もする。沢島課長が人気だからかな。
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