課長のケーキは甘い包囲網

 すると、その沢島課長が私の背中をぽんと叩いた。

「やあ、田崎さん。これからよろしく頼むよ。うちには君と武田君だからね」

「あの、どうして私なのでしょうか?」

「どうして?君は職場のお笑い担当。もちろん、それだけじゃないよ。コンビニで鍛えた根性を見せてくれ」

 また横向いて笑ってる。むー。

「お笑いとかやめてください。でも、根性は多分あります」

「僕に感謝していただろ。たっぷり恩返ししてもらうとするかな。僕に恥をかかせないよう、しっかり頼むよ。そうじゃないと、僕がみんなから怒られるからね」

 そう言って、ひらひらと手を振っていなくなった。何なのよ、それ?お笑い担当ってなに?馬鹿にしてるの?

「田崎さん、これからよろしく」

 振り向くと、スーツ姿の同期の男性。名札を見ると、ほう、君が武田君か……。なんかすごい体格のいい人。
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