課長のケーキは甘い包囲網
「あ、こちらこそよろしくお願いします。田崎です」
身体の大きい割に彼は恥ずかしそうにしている。
「いや、そんな同期なのに丁寧に挨拶されてもね。ため口でいいよ」
「あ、そう、そうだよね。ごめん。えっと、武田君は総務とか希望していたの?」
「いや、そんなわけないだろ。営業希望だよ。どうしてここになったんだろう、謎だよ。君は?希望してたの?」
「……私は全然。全く考えてもいなかったし、すごくショック。店の方が良かった」
「店?ああ、まあそういう人もいるけど、本社配属なんだからこういう部署もたくさんあるよ」
「でも、人事部ってどういうことやるのかな?」
「いや、仕事はきっと色々あるんじゃない?ま、よくわかんないけどさ。これからよろしく」
「うん」
とりあえず、同じ部の同期が気さくな人でよかった。少し安心した。