課長のケーキは甘い包囲網
「課長。有紀さんのこと未練はないんですか?会いにいくくらいだから、まだ好きなんですよね?」
「好き?そんな訳あるか。メールも、電話も全て無視されてきたんだぞ。その文句も言いたかったし、色々聞きたいことがあったんだ。辞めた当時のこととかな。結婚するっていう奴に未練なんかあるかよ」
そうとは思えない。あの寝言。ちろりと課長の顔を見た。
「……」
「なんだよ、その目。疑ってるのか?」
「課長、おととい寝言を言ってました」
「は?お前、俺の部屋へ夜這いに来たのか?」
そんな訳あるかー!
「だから、熱があるのか心配だったの!様子を見に行ったら……有紀さんの名前をつぶやいてた」
課長は真っ赤になっている。やっぱりね。