課長のケーキは甘い包囲網

「最近あいつの夢を見ていなかったんだ。でもおととい久しぶりにあいつが出てきて、俺にタバスコ入りの試食ケーキを食わせようとしていたんだ。あいつ、しょっちゅう俺の苦手なタバスコを入れたクッキーとか食わせて嫌がらせしていたんだ。それが夢に出てきて……」

「……まさか、それで『有紀、やめろよ』って言ったの?」

「そう言ってたのか?そうだ、いつもどっちがいいって聞くんだ?でもどっちもタバスコ入りなんだ。だからやめろって言うんだが最後には食わされる」

「……何それ……馬鹿みたい……」

「なんか、勘違いしたのか?悪かったな……全然そういうんじゃないんだよ。あいつとは元々悪友なんだ。会社で色々あって慰めているうち……実はそういうことになったが、少し違うんだ」

「課長の馬鹿!その割にはカード見てから様子変だったじゃないですか」

「それはそうだろ。俺をおきざりにして辞めて、散々無視されて、連絡が来たら結婚するっていうんだぞ、俺だって多少はショックだった。でも俺には今はもう……すみれがいる」
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