課長のケーキは甘い包囲網
「課長のお母さんって洋菓子メーカーのお嬢さんなんだよね。うちと取引あるらしい。それでね、課長のお母さんがすごい綺麗なの。沢島課長もイケメンだけどさ、お母さんに似たんだね。若く見えるし、びっくりした」
「それって……清水さんが綺麗って言うんだから相当綺麗なんだね」
「え?あ、どういう意味?」
顔で生きてきたって言ってた清水さんが言うんだよ。清水さんが認めるっていうことは、つまり相当美人って事でしょ?まあ、いいや。それで誠司さんは午前中いなかったのか。
「今度一度ゆっくり食事でも行こうよ」
「そうだね」
そう言って、別れた。
午後から、フロアで頼まれた入力をこなしていると、話しかけられた。
「田崎さん、本当に成長したわね。さすが二年目だけのことはある」
伏見さんが隣の列からこちらを見て笑っている。