課長のケーキは甘い包囲網

 そう言うと、時計を見ている。

「今頃、料理を作り終わっている予定だったけど、しょうがないな。この話のほうが重要だ。冷蔵庫の中身はお前の彼氏に作ってもらえ。料理うまいんだろ?」

「うん。すごく上手なの」

「それは楽しみだ。彼を紹介しないと、親父が納得しないだろ」

「そんな。彼なしで一応説得する。それでもダメなら……」

「ダメなら、縁談だぞ。もう断れないかもしれない。そんなこと知られたら怒られるんじゃないのか?事前に相談すべきだな」

 う。確かにそうかもしれない。知られたらきっとすごく怒られる。黙っている私を見てお兄ちゃんは立ち上がった。

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